無足場工法は、足場費用が掛からない近年増えている工法の一つです。
しかし、作業内容や建物の形状によってはできないことや、適さないこともあります。
外壁塗装の場合塗料の飛散や美観の問題などがあるため、無足場工法のメリットやデメリットを見定めてから決める必要があります。
外壁塗装の無足場工法の特徴や足場ありの場合との価格差、無足場工法で塗装する際のデメリットや注意点を見ていきます。
外壁塗装の無足場工法の特徴と足場ありの場合との価格差
無足場工法とは、足場を使用せずに建物の修繕工事を行う工法です。
近年、足場代を抑えることができることから使用されるようになっています。
無足場工法の特徴
無足場工法には、「ゴンドラ」と「ロープ」の二種類の工法があります。
ゴンドラ
ゴンドラを使用する無足場工法は、修繕箇所が多い工事に適しています。
ゴンドラは、上下左右に動くことが可能なため作業効率が上がります。
しかし、取り付け費用が高いため建築当初に取り付けることが多く、修繕だけを目的に設置することは少ないです。
屋上の形状によって、設置できないこともあるため注意が必要です。
ロープ
ロープを使用する無足場工法は、ロープでぶら下がった状態で修繕作業を行っていきます。
ぶら下がっているだけの状態のため、ゴンドラと違い上下の動きしかできません。
そのため、作業効率が悪く修繕箇所の多い工事には向いていません。
無足場工法のメリット
費用を抑えることができる
無足場工法は、足場を必要としないため現場が大きくなるほど、足場代を節約することができます。
限られた修繕費を節約する方法として、無足場工法は有効的な選択肢の一つです。
工事期間を短縮できる
単純に足場の設置と解体の時間分を短縮することが可能です。
修繕工事中は、住んでいるかたや近隣のかたに迷惑が掛かるため、少しでも工事期間を短縮することで負担を減らすことができます。
防犯対策になる
足場を設置すると、泥棒や部外者の侵入経路となることがあるため、無足場工法は防犯面で安心できます。
大規模な修繕工事の足場は、設置する際に部外者侵入禁止の張り紙やガードフェンスなどの処置を行っています。
しかし、作業をする上で全く人が通ることができないようにする訳にもいかないため侵入される可能性はあります。
女性や一人暮らしが多いマンションなどは、足場からベランダに入れてしまうため、より注意が必要です。
狭い箇所でも作業ができる
隣との距離が近く、足場の設置が困難な場合でも無足場工法であれば作業することができます。
都心などは、狭小地が多く無足場工法で作業する風景をよく見ることができます。
部分的な修繕が可能
大規模な修繕工事の場合、足場を設置しても無駄にはなり難いです。
しかし、部分補修であれば数万円の補修工事のために数十万円から数百万円の費用を掛けて足場を設置することがあります。
ただし、無足場工法であれば部分的な一部分だけの修繕工事が可能となります。
景観を維持することができる
足場を設置すると、飛散防止シートを貼るため見栄えがあまり良くありません。
無足場工法であれば、その必要がないため景観を保つことができます。
足場設置費用と無足場工法の費用との価格差
一般的に、無足場工法は足場を設置した際よりも3〜7割ほど節約できます。
例えば、5階建のマンションの場合だと足場設置料が200万円だった場合、無足場工法は0円になります。
しかし、無足場工法を行う業者費用は高くなります。
外壁塗装の場合、330万円が400万円になりますが、全体の金額は130万円節約できています。
あくまでも一例のため、費用が前後することはあります。
無足場工法で塗装する際のデメリット、注意点
メリットを見ると非常に魅力的な無足場工法ですが、デメリットも存在するため見極めが必要です。
無足場工法のデメリット
建物の形状によって設置できない
無足場工法は、設置箇所に規制があるため建物の形状によって設置ができないことがあります。
一戸建てに多い三角屋根などは、設置することができません。
設置できるのは、陸屋根と呼ばれる屋上が平坦になっている形状の建物に限られます。
作業員以外の確認が困難
ゴンドラであれば、同乗して確認することができます。
しかし、ロープの場合作業員以外は下からの確認となるため、確認する場合は施工写真などに頼ることになります。
品質の確保が困難
外壁塗装作業中は、乾燥する前に繋げていかなくてはいけません。
しかし、作業効率が落ちる無足場工法の場合乾燥前に繋ぐことができず、乾きムラが起きやすいです。
さらに、ロープの場合横移動ができないため美観を考えた時に外壁塗装は向いていません。
他にも、足場を設置する場合は飛散防止シートを貼りますが、無足場工法は足場シートがないため近隣に塗料が飛散するリスクが非常に高くなります。
できない作業内容がある
無足場工法は、ぶら下がっている状態のため外壁に力をいれると外壁から離れてしまうため、力を入れる作業はできません。
無足場工法の注意点
都市部では無足場工法は増えていますが、地方では普及していないのが現状です。
そのため、無足場工法をできる会社は少なく経験が浅い作業員に当たる可能性があるため注意が必要です。
無足場工法は、大きなメリットがありますがデメリットも大きく、特に飛散が伴う外壁塗装はよく考慮してから選ぶようにしてください。
まとめ
外壁塗装の無足場工法の特徴や足場ありの場合との価格差、無足場工法で塗装する際のデメリットや注意点について見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 無足場工法には「ゴンドラ」と「ロープ」の二種類の工法がある
- 足場設置費用に比べて3〜5割の節約になる
- 外壁塗装の場合品質の確保が難しい
無足場工法は、部分的な補修に適しているため外壁塗装のような大掛かりな工事には適していません。
特に本来横移動が必要な外壁塗装は、ロープのような上下移動のみの工法の場合、つなぎムラが非常にできやすいです。
しかし、足場設置が難しい場合など条件が合った場合は、節約にもなるため無足場工法を選択肢の一つとして考えてみましょう。