外壁塗装を選ぶ際に、価格や技術、口コミや地元企業かなどで選ぶことも重要ですが、塗装後の保証も重要です。
保証があるかないかで、不具合が起きた時の対処の仕方が変わってきます。
しかし、外壁塗装の保証は各塗料メーカーや施工店によって異なるため、外壁塗装の保証のしくみを知っておく必要があります。
外壁塗装の保証を受けることができるケース、保証の種類や内容、外壁塗装の保証書の内容とチェックポイントを見ていきます。
外壁塗装の保証が受けられるケースと保証の種類、内容
家電量販店で、冷蔵庫や洗濯機を買うとメーカー保証として1年間保証がついてきます。
さらに、家電量販店が独自に3年間の保証をつけるケースもあります。
これらは、保証期間内に機械の不具合により故障した場合に無償で修理してくれるサービスです。
家電は、保証期間がついていることが当たり前になっていますが、外壁塗装の保証は未だ不透明な部分もあります。
外壁塗装の保証を受けることができるケース
外壁塗装の保証は、保証されるケースと保証されないケースがあるため注意が必要です。
保証されるケース
一般的に外壁塗装で保証されるのは、次のようなケースです。
- 塗膜がはがれた時
- 塗膜が膨れた時
- 施工不良よる不具合が生じた時
外壁塗装で保証されるケースは、塗装業者や塗料に問題があった場合の不具合が保証されるようになっています。
塗装後、塗膜表面の変色や色褪せが起きることがあります。
塗装業者や塗料の不具合に感じますが、それぞれの住宅環境によって変色や色褪せの度合いは変わってきます。
そのため、責任の度合いが分かりにくいことから外壁塗装の保証から外されていることが多いです。
保証されないケース
先程とは異なり、次のようなケースは保証対象から外されています。
- 故意や過失によるもの
- 火災や地震、自然災害によるもの
- 建物の構造や躯体の起因によるもの
- 建物の環境に起因する結露やカビ、コケなどが発生した場合
- 契約時点の技術では、防ぐことが困難な異常が発生した場合
故意や過失による不具合は保証の対象外です。
施主側が、故意的に外壁に傷を付けることは考えにくいですが、自転車が外壁に接触してしまう可能性はあります。
故意的ではなくても、過失による不具合も保証の対象外になります。
自然災害や予測不能なことも保証対象外です。
地震や火災、台風や洪水など自然災害や予測不能な自体が起き外壁に不具合が生じても保証はされません。
これらの場合は、外壁塗装の保証ではなく火災保険など各種保険が利用できるケースがあります。
外壁塗装の不具合の元になる原因が住宅自体にあった場合も保証対象外になります。
さらに、契約時点で一般的に実用化されている技術で防ぐことができない問題が発生した場合も保証対象外になります。
外壁のカビやコケは保証対象外です。
住宅の北面は、トイレやお風呂など水回りが多くカビやコケが発生します。
それらは、湿気の原因が多いため塗装業者や塗料の原因ではありません。
変色や色褪せと同じで、住宅環境によって変化し発生するもののため保証対象外になります。
外壁塗装の保証の種類と内容
外壁塗装の保証は、塗料メーカーが出す保証と塗装業者が独自に出す保証の二つに分けることができます。
塗料メーカーの保証「認定施工店制度」
メーカー保証とは、塗料を作ったメーカー側が指定した塗料を塗った時に起きた不具合を保証する制度です。
自動車メーカーの場合、不具合が起きればリコールで無料の修理を受けることができます。
しかし、外壁塗装は問題のない塗料をメーカー側が出荷しても、塗る側の塗装業者のミスや手抜きで不具合が起きることがあります。
そのため、塗装業界には保証制度が浸透しにくい傾向があります。
認定施工店制度は、塗料メーカーが特定の塗料に対して塗装業者に講習を行い、知識や技術を習得してもらい免許を交付する制度です。
技術指導を行い、塗装業者のミスや手抜きによる不具合を防ぐことでメーカー保証を出せるしくみになっています。
メーカー保証がある塗料
アステックペイント
アステックペイントには、最長で10年の保証があります。
10年保証の塗料は、「リファインシリーズ」「グラナート」などがあります。
日本ペイント
日本ペイントには、3年保証で「ダイヤモンドコート」、1年保証で「アルマースsi」などがあります。
AGCコーテック
AGCコーテックには、10年保証で「ルミステージ」があります。
以前は、TOTOの光触媒塗料で「ハイドロテクトコート」がありましたが、現在は生産を停止しています。
塗装業者独自の「自社保証」
自社保証は、認定施工店のような特殊な塗料だけでなく、一般的な塗料にも保証がつきます。
一般的にシリコン樹脂塗料で5〜7年、フッソ樹脂塗料で7〜10年です。
屋根や付帯部は外壁よりも劣化速度が早いため、保証期間が短くなります。
屋根の保証は、外壁と比べると半分くらいの保証期間です。
その他の付帯部や鉄分、木部や雨樋などは3年保証を設けている塗装業者が多いです。
外壁や屋根以外は、保証対象外としている塗装業者も存在するため、保証対象や内容はよく確認する必要があります。
長過ぎる独自保証には注意が必要
自社保証は、施主側からすると長ければ長いほど良く感じます。
しかし、家電の洗濯機のメーカー発表の買い替え目安が7年に対してメーカー保証は1年で、家電量販店独自の自社保証で3年です。
外壁塗装は、シリコンの寿命が7〜10年に対して塗装業者独自の自社保証が5〜7年です。
家電の自社保証が期待耐用年数の3割以下に比べ、外壁塗装の自社保証は期待耐用年数の7割以上です。
この4割の差は、塗装業者が顧客を獲得するために無理をしています。
中には、シリコン樹脂塗料で7年を超えた10年保証の自社保証を行っている業者もあります。
一般的には10年近くは期待できますが、住宅環境によっては7年前後で自然劣化が起こります。
塗装業者は、自社保証の場合工事代金を全て負担して塗り替えを行うため赤字続きになれば倒産します。
このような、自社保証で期待耐用年数と同等の保証期間を設けている業者は注意が必要です。
このような場合、保証対応をせずに計画的に倒産するか、形だけの保証で満足行く保証がされない可能性が高いです。
外壁塗装の保証書の内容とチェックポイント
外壁塗装の保証書の内容は、塗膜保証と工事保証があります。
塗膜保証
メーカーや塗装業者によって異なりますが、一般的には製品保証とも呼ばれ塗料に対しての保証です。
製品保証は、使用した塗料に不具合があった場合頼んだ塗料代を上限として保証してくれます。
しかし、製品保証はあくまで塗料の保証のため工事内容は保証されません。
工事保証
保証期間中に、施工不良が原因の不具合が起きた場合に保証してくれます。
保証内容や保証期間は、施工店や工事内容によって異なります。
アステックペイントは、保証期間が10年と長いですが製品保証のため、施工不良までは見てもらうことはできません。
しかし、日本ペイントは保証期間が3年や1年と短いですが、工事保証になっているため工事全体が保証されています。
塗膜保証は、メーカー側が自社の塗料に自信があるため長期間保証をつけ、実際にその塗料を使ってもらえる安心感があります。
工事保証は、不具合が起きる場合は3年以内に起きると考え、短い期間に設定し保証の幅を広げています。
どちらもメリットにもデメリットにも感じますが、保証がない塗料よりも、保証がある塗料の方が安心感を得ることができます。
しかし、保証内容は呼び方が一緒でも各メーカーや施工店ごと内容は異なります。
そのため、保証を受ける際は契約前にしっかりと内容を確認する必要があります。
外壁塗装の保証書のチェックポイント
- 保証内容が「塗膜保証」か「工事保証」か確認する
- 保証対象が外壁のみか、屋根、鉄分、木部、付帯部のどこまでが保証範囲に入っているか確認する
- 不具合の内容の保証範囲の確認
- いつの段階で保証書が交付されるのか
保証書は、交付されるまで保証の内容が分からない場合もあります。
さらに、不具合が起きてから保証を使って修繕しようとしたら、保証書の記載を読んでおらず保証範囲外だった場合もあります。
そのため、保証内容は契約前に説明や書類を受け取っておき、よく読んだ上で安心材料になり得る内容か見定めてから契約するようにしてください。
まとめ
外壁塗装の保証を受けることができるケース、保証の種類や内容、外壁塗装の保証書の内容とチェックポイントについて見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 保証を受けることができるのは、塗料か施工に問題があった時
- 長い保証期間を設けている塗装業者は倒産のリスクや保証を受けることができないリスクも考慮する
- 塗膜保証は塗料の保証、工事保証は工事内容の保証
外壁塗装は、室内と違い建物ごとに環境が異なります。
そのため、保証内容も外的要因による劣化は保証されないため注意が必要です。
外壁塗装の保証は、ついていることに意味がある訳ではなく、いざと言う時に使えなくては意味がありません。
塗料メーカーが発行している保証制度は心配ないですが、塗装業者独自に出している保証制度は長い保証制度を設けているほど倒産のリスクが高まります。
外壁塗装の保証には、もう一つ第三者機関の保証もあります。
第三者機関の保証のため、塗装業者が倒産しても保証は継続されます。
しかし、保証内容や工事内容に制限がある保証制度もあるため、十分に確認してから発注しましょう。
外壁塗装の保証は、塗料メーカーの塗膜保証と塗装業者独自の工事保証があるに越したことはありません。
しかし、使える保証でなくてはならないため契約前にしっかりと保証内容を確認して、見た目だけに捉われず中身のある保証を選ぶことが重要です。