外壁塗装の劣化には様々な外的要因や建物自体の劣化が関係しています。
外壁塗装の劣化の進み具合は塗装業者の施工や少しの工夫で大きく変化します。
外壁塗装の塗り替え時期を伸ばし、適正な工事を依頼するためにも、外壁塗装の劣化について知る必要があります。
外壁塗装の劣化状態の種類と原因、外壁塗装の劣化を早める原因と遅くする方法を見ていきます。
外壁塗装の劣化状態の種類と原因
外壁塗装や建物は、様々な外的要因や経年劣化などにより傷みが進んでいきます。
外壁や屋根には埃や土、排気ガスなどの公害、カビやコケなどの汚れが表面に付着します。
ほとんどの汚れは、すぐに洗い流せば落ちるものばかりですが、放置するほど取れにくい汚れになっていきます。
埃や土、排気ガスなどの公害汚れ
埃や土、排気ガスなどは風に乗って外壁や屋根に積もっていきます。
幹線道路や高速に近い場所は、排気ガスの汚れを受けやすくなります。
汚れは雨で落ちていきますが、流れた跡が筋状の汚れになって残ったり、雨が当たらない箇所は少しづつ積もっていきます。
カビやコケなどの汚れ
日が当たらなく、水捌けが悪く湿気が溜まりやすい場所に発生します。
お風呂場や台所に近い壁の裏側にあることがよくあります。
陽の当たらない場所に水回りが面していると、湿気も溜まりやすいため他の面よりも多くカビやコケが発生します。
他にも、周囲に川や用水路、池や湿原などがあると風に乗って胞子が飛んで来やすいためカビやコケなどの発生源となります。
付着してすぐは根を張ってないため取れやすいですが、根を張ったカビやコケなどは塗膜内部まで入りこんでいるため取りにくくなっています。
除去するために強い洗浄剤やブラシなどで擦ると、壁や屋根材の塗膜や下地を傷める原因になるため、除去する際は専門の業者に依頼することをおすすめします。
塗膜の劣化
塗膜は年数が経つごとに、塗り替えを施した時の機能性は徐々に低下していきます。
機能性が低下していくと、建物の保護機能がなくなっていくため同時に劣化も早くなっていきます。
チョーキング現象
建物全体の艶がなくなり、外壁を触ると白い粉が手に付着します。
年月が経つと、太陽光の紫外線で塗膜表面の樹脂が分解され顔料が表面に残り粉状になります。
チョーキング現象は、塗膜の機能性が低下し保護機能が失われている合図です。
剥がれや膨れ
塗装を施してある外壁や屋根は、表面に塗料が何層にも重り密着して下地の建材を守っています。
しかし、下地との密着力が低下すると剥がれや膨れが起きます。
塗膜の剥がれや浮きは、経年劣化で起きる場合もありますが、建物に原因がある場合と塗り替えの施工方法に問題があった可能性があります。
塗膜の剥がれや浮きが起こる建物の原因は、屋根や外壁などから雨水が回っている場合や水回りの湿気が中々抜けず湿気が溜まっている場合など、水に関連した原因が多いです。
塗り替え方法による原因は、建物に合っていない材料を使用している場合や洗浄やケレン、下塗りなどの下地処理を怠った場合に多いです。
建物の劣化
劣化が建物や付帯しているものに起こると、塗膜の保護機能の範囲を超えてしまい周囲の塗膜も傷めることになります。
コーキングの劣化
コーキングは、目地だけでなくサッシ周りやダクトの周りなど様々な箇所に使われています。
コーキングは建物の揺れを逃す役割を持っているため、コーキングが劣化し硬くなってくるとヒビ割れてきたり壁と隙間が生まれたりします。
劣化したコーキングは、撤去し新しいコーキング剤を施工します。
外壁のヒビ割れ
ヒビ割れは、髪の毛ほどのヘアークラックと外壁の下地まで割れている構造クラックがあります。
ヘアークラックほどのヒビ割れの場合、塗装時にファンデ下地の塗料を使うことで埋めることができます。
塗装後であっても、弾性塗料を使っていると、ヘアークラックが発生しても塗膜が追従します。
しかし、構造クラックは塗料では埋まりません。
また、塗膜も追従できずヒビ割れてしまいます。
鉄部のサビ
雨樋の金具や破風板、水切りや庇、ボルトや釘など多種多様に建物には鉄が使われています。
サビが起きると周りも一緒に腐食していくため、サビた箇所以外の劣化も誘発します。
サビた箇所は、しっかりとサビを落としてからサビ止めの処理を行う必要があるため、サビが酷くなると建材の交換やケレン作業が高額になる可能性があります。
外壁内部の湿気
本来建物は水が入った時に抜ける場所が存在します。
しかし、何らかの形で水が抜けなくなってしまった場合、中に湿気が溜まってしまい建物下地だけでなく躯体まで腐食させてしまいます。
塗膜が密着している下地が劣化した場合、塗装の保護機能ではどうする事もできません。
サイディングボードの反り
窯業系サイディングボードは、雨漏りや内部の湿気などが原因で反ってくることがあります。
反りが生じると隙間から雨水が侵入する恐れがあります。
反りは元に戻ることはないため交換が必要です。
しかし反ったように見えても、サイディングボードに打ち込んである釘が抜けているだけの可能性もあるため、交換する前に確認しておくと余分な出費を防ぐことができます。
外壁塗装の劣化を早める原因、遅くする方法
外壁塗装の劣化を早める原因
外壁塗装の劣化を早める原因のほとんどが、定期的なメンテナンスと適正な施工で防ぐ事が可能です。
劣化が起きた場合は放置せずに補修を行うことや、塗装工事の内容を決める際に次回塗装する時期を決めて、その間に耐久年数を超える箇所は一緒に工事を行うなど事前に対策を取ることが大切です。
工事費用が高くなるように感じますが、劣化を放置した場合に比べ本来しなくても良い工事による出費を防ぐことができ、結果的に費用の出費を抑えることができます。
外壁塗装の劣化を遅くする方法
外壁塗装は少しの工夫と知識で耐久性を伸ばすことが可能です。
下地処理が重要
塗装の工程では、上塗りの性能を十分に発揮さるために下地処理が重要になります。
汚れを落とさずに塗装を行うと密着性が著しく損なわれます。
塗装する前は必ず高圧洗浄や手洗いを行い、取りきれなかったサビや藻などの付着物はケレン道具を使用して徹底的に除去します。
下塗りも一回だけの決まりはないので、下地の劣化が激しい場合や塗料の吸い込みが激しい場合は二回塗ったり塗料を変更したりする必要があります。
中にはいい加減な説明をして、下地に合った塗料を使用せず洗浄もケレンもある程度で終わらせる業者も存在するため、下地作りは重要な工程だと覚えておきましょう。
定期的にメンテナンス
しかし、劣化を遅くする工夫を施しても塗料には耐用年数があるため定期的にメンテナンスをおこなう必要があります。
メンテナンスの時期は塗料ごとに異なります。
例えば、外壁塗装にフッ素を塗っているのに雨樋はシリコンを塗っていると耐用年数のズレが生じます。
他にもコーキングは綺麗だったため、そのまま外壁塗装だけ施工するとコーキングの劣化が先に始まります。
そのため、塗装内容を決める段階で次回塗装する時期も決めておき、途中で耐用年数を迎える箇所も先に補修したり耐用年数が同じ塗料を使用することを気をつけるだけで、建物全体の耐用年数が長くなります。
周囲の環境により他に比べ劣化しやすい場合は、カビやコケが付きにくい塗料や汚れ浮かせ雨で流す塗料など住環境に合った塗料を選択してみるのも良いです。
しかし、専門的な耐用年数は分からないことが多いため専門の業者に「建物全体の耐用年数を合わせたプランをお願いします」と伝えてみてください。
知識のある質の良い業者であれば、細かい説明や対応、アフターフォローの相談までをしてくれます。
まとめ
外壁塗装の劣化状態の種類と原因、外壁塗装の劣化を早める原因と遅くする方法について見てきました。
内容をまとめると以下のようになります。
- 外壁塗装の劣化は外的要因だけでなく建物も関係する
- 定期的なメンテナンスを施す
- 建物全体の耐久年数を合わせる
外壁塗装の劣化は外的要因に限らず、建物の劣化も関係しています。
そのため、外壁塗装のメンテナンスだけでなく建物全体のメンテナンスとして考える必要があります。
建物全体で考えことにより、外壁塗装の劣化は遅くなり結果的に建物の耐久年数にも繋がってきます。
適正なメンテナンスを行うためには、長い付き合いのできる地元の業者を探すことがおすすめです。
長い間、同じ業者に依頼することで、細かいアフターフォローまで任せることが可能になります。
是非検討してみてください。