外壁塗装の膜厚の目安と適量、チェックポイント

外壁塗装の耐久性を判断する一つの材料が膜厚です。

しかし、塗装業者の中には塗料ごとに決められている膜厚や塗布量すら知らずに施工していることが多いです。

そのような塗装業者に任せてしまうと、外壁塗装を行ってから早い段階で、色褪せが始まる可能性が高まります。

塗膜や塗布量を重要視している塗装業者を選ぶためには、外壁塗装の膜厚の重要性を知る必要があります。

外壁塗装の膜厚の目安や適量、膜厚は薄いのと厚いのはどちらが良いのか、膜厚のチェックポイントを見ていきます。


外壁塗装の膜厚の目安と適量

外壁塗装の膜厚の目安と適量

外壁塗装の膜厚とは、塗料を塗った時に作られる塗膜の厚みを表しています。

外壁塗装は、色が付いてきれいになることに目がいきますが、期待通りの耐久性を得るには塗膜が規定通りになる必要があります。

外壁塗装は下塗りと上塗りに分類され、それぞれに膜厚があります。

塗装する塗料によって膜厚は異なりますが、下塗りが20〜40ミクロン(100ミクロン=0.1mm)、上塗りが100ミクロン前後です。

塗料が弾性塗料になると膜厚が増えるため、上塗りが200〜300ミクロンになります。

下塗りの膜厚が薄い理由は、耐候性などが関係なく密着性を重視しているためです。

上塗りは紫外線などから建物を保護する必要があるため、下塗りより膜厚を付ける必要があります。

上塗りは通常ニ回塗りになるため、各回で50ミクロンずつ塗布することで100ミクロンになるように塗装します。

しかし、最近では膜厚を公表している塗料メーカーはあまり存在しません

実際に塗装を行う場合、下地によって吸い込みが激しい時や逆に全く吸い込まず塗料が垂れてしまう場合もあります。

そのため、分かりにくい膜厚ではなく塗布量を一定の目安として記載していることが多いです。

塗布量は、1m2に対して何キログラム塗料を付けるかになります。

例えば「0.12〜0.14kg/m2/回」と記載があると、1m2に0.12〜0.14kgを1回で塗装するのが規定塗布量になります。

これを1缶分のm2数に置き換えると、16kgの缶で114〜133m2を1回で塗る計算になります。

塗布量に開きがあるのは、凹凸が少ない方が使用が少く、下地の柄によって塗布量が変わるためです。

この計算方法によって、実際に使用される塗料の缶数と規定量が合うかがわかります。

そのため、カタログの塗布量は適正に塗料が使われているか一つの判断材料になります。

しかし、下地の形状・素地の状態・気象条件などで使用する塗料は増減するため、あくまで目安として考えてください。


外壁塗装の膜厚は薄いほうが良い?厚い方が良い?

外壁塗装の膜厚は薄いほうが良い?厚い方が良い?

外壁塗装の膜厚は基準に達していなければ、耐久性は確保されません

外壁塗装の上塗りは、基本的に2回塗りです。

1回塗りで基準の膜厚に塗装することは難しく、1回で厚塗りをしてしまうと不具合が起きる可能性が高いです。

一度に膜厚を付けると、表面と内部の乾燥時間のズレが大きくなり、表面は乾燥しているのに内部は未乾燥の状態になります。

すると、乾燥途中で表面が引っ張られ亀裂やひび割れが起きます。

そのため、塗装は一度に基準の膜厚を塗るのではなく何層も重ねて基準の膜厚にすることが基本となっています。

耐久性の確保には基準の膜厚が必要ですが、膜厚を付けるほど耐久性が上がる訳ではありません。

例えば、100ミクロンが膜厚の規定になっている塗料を3回、4回と塗り回数を増やして150ミクロンの膜厚を確保したとします。

膜厚が増えると耐久性も増したように感じますが、基準値を超えた膜厚の耐久性は変わりません

色褪せも膜厚の表面で起きている現象のため、基準値以上の膜厚をつけても耐久性は増しません。

反対に、膜厚を付けることによって内部の湿気が抜けにくくなるため、塗膜のめくれの原因になります。

色褪せはしていきますが厚塗りをすることで外からの防水性は多少増す可能性はあります

しかし、防水機能は塗料以外の工事箇所で満たすことが可能なので、無理をしてまで塗膜で基準値以上の防水性を高める必要はありません。

塗膜は、薄塗りも厚塗りもメリットはほとんどありません。

メーカーから販売されている塗料は、沢山の試験結果から基準を決めているため、塗料ごとに決められた基準値の膜厚を付けることが、一番最適な膜厚になります。


外壁塗装の膜厚のチェックポイント

外壁塗装の膜厚のチェックポイント

膜厚検査は、塗料の耐久性を知る上で重要な判断材料になります。

大型物件の金属の屋根や工場、船舶や自動車は膜厚の検査を行われることが多いです。

膜厚計は、塗膜にセンサーをあてて下地からの跳ね返りを読み取り膜厚を計測しています。

そのため、金属以外の下地の膜厚の計測は難しいのが現状です。

非鉄用の膜厚計も存在しますが、高価なものであったり乾燥前の計測が条件だったりするため、一軒家の外壁塗装ではあまり使われていません

膜厚を測ることは素人からだと非常に難しいですが、先程説明した塗布量の計算方法から基準値通りの工事かが分かります

塗装業者は昔からどんぶり勘定の会社が多いため、経験から何缶使うか決めることが多いです。

塗布量に関しても、二回塗ることだけに重きを置いている塗装業者が多いため注意が必要です。

外壁塗装の見積もりの際に、塗布量をデーターとして塗料ごとに出しているか、そのデーターを元に缶数を決めているか聞いてみましょう。

塗布量の重要性を知っている塗装業者なら他の現場でも導入しているため、見本となるデーターの資料を見せてくれるはずです。

手抜き業者と呼ばれている業者は、二回塗りを一回塗りにしたり、塗料を薄めて薄い膜厚を二回塗ったりして原価を下げています

この施工方法は、両方とも基準の膜厚が確保できていないため、早い段階で色褪せなど不具合が生じてきます。

そのため、膜厚や塗布量を重要視していない会社は当初の値段は安く収まりますが、次の塗り替え時期が早まるため結果的に高い買い物となってしまいます。

膜厚や塗布量は必ず塗料メーカーの規定があるため、塗料メーカーが決めた仕様を重要視していて、塗料の規定を守れる塗装業者を選ぶようにしましょう。


まとめ

外壁塗装の膜厚の目安と適量、チェックポイントのまとめ

外壁塗装の膜厚の目安や適量、膜厚は薄いのと厚いのはどちらが良いのか、膜厚のチェックポイントについて見てきました。

内容をまとめると以下のようになります。

  • 膜厚や塗布量は塗料ごとに必ず決められている
  • 膜厚は塗料ごとに決められた厚さにし、薄すぎ厚すぎは不具合に繋がる
  • 業者選びは塗料の仕様や規定を知った上で厳守できる業者を選ぶ

塗料の仕様や規定は、塗料メーカーや塗装業者でなくてもインターネットから簡単に見ることができます。

素人でも調べることは簡単なので、施主が塗装業者に指摘した後でプロが、それらしく用意することは容易にできます。

しかし本来の目的は塗料のデーターではなく、常日頃から他の現場でも、膜厚や塗布量の管理を行っている業者を選ぶ必要があります。

そのため、質問した時にすぐに返答ができたりデーターや様式を出せたりする塗装業者を選ぶことが、後の耐久性の面で重要になります。

外壁塗装は、外壁に合った下塗りの選定など膜厚だけではありません。

膜厚を重要視している業者は、品質に対して高い水準の管理を行っており、質の良い業者の可能性が高いです。

これらの情報を、業者選びの参考にしてください。